クアッカワラビーという動物がいます。
オーストラリアに生息する有袋類で、通称『世界一幸せな動物』と呼ばれ親しまれています。
通称の理由はその表情。クリっとした瞳とクイっと上がった口角、それに人を警戒しない懐っこさもあいまって観光客にも人気の動物だそうです。確かにとても愛嬌のある満面の笑顔のように見えます。彼らが実際楽しい気持ちでいるのかどうかは彼らにしかわかりませんが。
さてそんな話題から今回は『笑顔』についてお話ししようと思います。
笑顔でいると自然と気持ちが明るくなって楽しくなる、そんな効果を聞いたこと、または実感したことのある方も多いのではないでしょうか。
これ、斜に構えた解釈をすれば脳を騙して楽しい気にさせていると言うことで、もう少し詳しく解説すると快楽に関連する神経伝達物質であるドーパミンが笑顔の表情筋に反応して活性化する、という人体の機能っぽくてなんとも味気ない理由なのですが、結果的に楽しい気持ちになれるのならいい方法だと思います。
そして逆に、しかめっ面をしていると本当に不幸な気持ちになってくる。人間ってそういうものです。
人体の機能的なものだけでなく認知的な要因も含めるのなら、
笑うことで気持ちが楽しくなれば、自然と見える景色も変わってきます。たとえ現実は変わらなくても楽しいというフィルター越しに見た世界はきっと楽しげなものでしょう。案外楽しみなんて捉え方次第で何からでも見出せるものなのかもしれません。
スタートは嘘でも笑顔でいたらいつのまにか本当に楽しくなってきた、そう考えるとそれはもう立派なセラピーと言っても差し支えないのではないでしょうか。
実際カウンセリングでも、現在進行中で抱えている問題があるのだけれども、そのことをテーマにするのではなく気分転換に楽しい話をしたい、そんな希望をされる方も少なからずいらっしゃいます。
それってカウンセラーである私としてはとても素晴らしい考え方だと思ってるんですよね。
というのも、状況や物理的に今すぐの完全解決が望めない悩みに対してストレスを溜め込んでしまうのではなく、解決のチャンスが訪れるまで待つという選択も一つだと思っています。
「時間が解決してくれる」なんて私の立場が言ってはいけないことかもしれませんが、時間でしか解決できない悩みがあるというのも一つの真理だとも思うのです。
とはいえその時間を悩み苦しみ過ごすというのは精神的な負担が大きすぎてもたない、もしくは副次的な症状が起きてしまうこともあります。
例えば、心配事で寝つきが悪くなり、不眠になってしまい精神症状を引き起こすなどです。
そうならないために、強制的に楽しい気分にすることで気持ちをリセットして、直面しても解決できない悩みから一時的に目を背けてやり過ごすというのも、解決に向かった積極的な行動の一つだと言えるのではないかと考えます。
しんどい時や辛い時は、とりあえず笑うを目標としてみると、なにかしらの糸口が見えてくるかもしれません。
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