今日2月14日は言わずと知れたバレンタインデー。
近年では義理チョコや友チョコ、マイチョコなんていうものまでずいぶん多様化しましたが、伝統としては愛の告白を伝えるためにチョコレートを贈るというスタイルです。
実はチョコレート会社の広告戦略で日本独特の風習、なんていう野暮はこの際置いておいて、現代では普段の感謝や秘めた好意を伝える日として定着しています。
起源や誰が誰に送るかはどうあれ、こういった普段伝えられない気持ちを伝える機会というのはいいことだと思います。
なぜなら、私たちは気持ちを伝えるという行動にとても高いハードルを感じがちです。
これは特に日本人に強く、だからこそ愛の告白という難易度の高い行動をイベント化したことが日本特有のバレンタインが受け容れられた理由の一つかもしれません。
人間以外の動物は、感情を表現することに躊躇がありません。
身近な犬や猫だって、嫌いな人には牙をむくし懐かないですが、好きな人には全身を使って愛情を示します。
その違いとして大きなものは、知性の高さや感情の複雑さによるものと思われます。
ストレートな感情表現によるリスクを知能が高いがゆえに想像してしまう。
『照れ』『自尊心』などの複雑な感情が煩雑になるがゆえに感情の一本化が難しくなる。
そういった理由で我々人間はなかなかシンプルな感情を伝えることを避けてしまいがちです。
ちなみに動物も知能の高いものは観察していると人間に近い複雑な感情を持っていると感じ取ることもできますけどね。ここではそれもひとまず置いておきましょう。
話を戻して。
そういった人間固有のある意味進化した感情体系は、高度な社会性の為に必要なものではありますが、時に必要以上に複雑で不具合を引き起こしてしまうこともあります。
例えば、
世間の常識から外れることを恐れて生き辛い状況を我慢してしまう。
他者からの評価が気になってありのままの自分でいられない。
そんな状態に慣れてしまうことで、だんだんと本当の感情を隠すことが無自覚に当たり前になってしまう。
精神分析理論の概念である『抑圧』は、自身の欲動・衝動などを意識から締め出して表出しないよう押し留めることとしており、抑圧が神経症などの症状を引き起こすと考えます。
自由で素直でいられたらいいのですが、そうは出来ない状態が続くことで精神的に不具合が出てしまうということですね。
感情を抑えるというのは、しないでいられるならそれに越したことはないのですが、なかなかそうはいかないのが社会というものなのでしょう。だからこそバレンタインデーのような「この日は素直になっていいんだよ」という免罪符も必要なのではないかと思います。
そしてカウンセリングという場もその一つだと私は考えます。
イベントの日だけでなく、カウンセリングの空間の中では普段抑圧している感情や観念を表現することが許された場所であり、そうして自分の本心と向き合うための場所であると。
私たちカウンセラーは、社会の常識や個人の価値観で他者を評価したり否定したりすることはしません。
ただそこに存在して、ありのままのクライエントさんに興味を持って寄り添います。
そうすることで、少しでも自分らしさを出すお手伝いとなることも、心理療法やアドバイス以上に大切な存在意義だと考えています。
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