2022年10月10日月曜日

10月10日は世界メンタルヘルスデー



今日、10月10日は世界メンタルヘスルデーです。
WFMH(世界精神保健連盟)が定め、のちにWHO(世界保健機構)も認めたことで正式な国際記念日となっています。
メンタルヘルス問題に対する意識を高め、偏見をなくして正しい知識を普及することを目的として定められています。

日本でもこういった意識がだんだんと広まってきていると実感します。
努力とか根性とか甘えとかそういった精神論でなく、人としてメンタルの不調という概念があることが常識として市民権を得れつつある。本当にいい傾向だと思います。

しかしそこにはまだまだクリアしてゆかなければならない問題もあると感じます。
例えばその一つとして、私は心理カウンセラーという肩書ですので特にそう感じるのですが、カウンセリングに対しての実態がまだまだ知られていないこと。

私は心理カウンセラーを職業としてもう18年になります。駆け出しの頃は心理カウンセラーなんて職業名として認知されていないのはおろか、怪しい仕事だとすら思われてしまうこともありました。
比べて昨今では、すんなりと職業として受け入れてもらえますし、中には興味を持ってくれる人もいます。
カウンセラーという職種や心理師という名前も認知度上がったものだなぁ、なんて感慨深いものがあります。

しかし同時に「カウンセリングってなにをするの?」と聞かれるのか相変わらずなんですよ。
つまり存在や職業、ともすれば必然性は多くの人が知ってくれるようになっても、その実態はやっぱり謎なんですよね。
私は初回の相談者さんには、まず初めにカウンセリング説明をするようにしていますが、「ああ、カウンセリングってそういうものなんですね」という感想もしばしばです。
TVや映画などで心理カウンセラーが出てくることもありますが、脚色され過ぎているのはおそらく視聴している皆さんもお分かりだと思います。

仕方のない理由として、個人のプライベートなテーマが扱われるので透明性が皆無なんですよね。実際私たち臨床家も、教育や指導、研究の場以外で自分以外のカウンセリングを見学する機会はめったにありません。見れたらラッキーってくらいレアです。
それほど秘匿されているからこそ安心して相談者さんが話せるという事でもあるわけですが。

それに、カウンセリングの手法や構造もカウンセラーによって違いが大きいのも、イメージのし辛さの原因としてあるのでしょう。
実際、心理療法は多種多様にあります。
精神分析療法・行動療法・来談者中心療法・ポジティブ心理学・催眠療法・認知行動療法・ゲシュタルト療法・家族療法・芸術療法etc
これらすべてが心理カウンセリングとして提供されていますし、さらに各療法に学派や発展形、枝分かれなどがあり枚挙に苫がありません。
さらにさらに、『カウンセリング』には心理学が背景でないもの、例えば占いや気功、ヒーリング系などスピリチュアルな手法もあります。
『カウンセリング』は相談援助の総称ですので、当然の結果でもあります。

ちなみに私は、スピリチュアルを背景とした相談援助を否定する立場ではありません。
私が心理学を背景とした『心理カウンセリング』が効果的だと信じて専門としているだけで(というかそれしかできないだけで)、結果としてメンタルケアの効果があるのであれば、手法に制限はないと思っています。

つまり「カウンセリングって何するの?」の答えは「色々あるよ」になってしまうということです。
もしあなたが、カウンセリングを検討しているのなら、まずは行って直接話を聞いてみることをお勧めします。
そして目的を伝え、わからないことを質問し、カウンセラーの人となりが信用に足るかどうかをしっかり値踏みをしてください。
継続して通えって言われたからって義理堅く律義に言う通りにする必要はありません。
自分が必要だと納得したなら継続するとよいでしょう。

ショッピング感覚で巡るのはお勧めしませんが、色々なカウンセラーがいますので、試して比べて自分に一番有意義なものを提供してくれるカウンセラー選んでください。
良いメンタルヘルスに出会えることを願っています。


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2022年9月29日木曜日

食欲の秋、読書の秋、転職の秋?



ご無沙汰しております。
気付けばもう9月も終わり。猛暑続きの夏もやっと朝晩などは涼しくなってきて秋の気配を感じられだしましたね。
なんだかこのブログ、季節毎の更新のようになってしまっていますが。

さて秋といえば行楽のシーズン。
世間的にも少しずつ出かけやすくなってきており、この秋は数年ぶりに行楽に出かける方も多いのでは。
秋の行楽といえば私は『紅葉狩り』が好きです。
落葉間近の葉を愛でる文化は諸行無常を感じられ、何より自然の紅葉の美しさに癒されます。
とはいいつつ、おかげさまで忙しくさせていただいているのでのんびり行楽とはいかないでしょうが、出張で地方へ行く時の高速道路で山中を走りつつ堪能しようかなと思っています。もちろん安全運転も忘れずにですよ。

さてそんな秋。企業のメンタルケアの仕事もさせて頂いていると、9月10月に多いなと感じることが転職・離職の相談。
世間的には5月病の時期にその印象があるかもしれませんが、私が相談を受けていると、4月に入社して5月あたりから調子を崩し、それでも耐えて9月に限界を迎える、そんなケースが多いように感じます。
あとは夏のボーナスまで頑張るっていうのも心情的には理解できますしね。

前提として私は転職や離職をネガティブには捉えておらず、本人の持つ立派な選択肢の一つだと思っています。
ですので説得したり引き止めたりすることはありませんが、明確にしておきたいことがあります。
それは、理由。

辞めると判断する理由です。
というのも、相談で転職・離職がテーマに挙がる時、多くの方がとても真っ当な理由を語られます。
ですがそれらの理由を聞いていると、
「それが理由なら辞める以外の方法もあるのではないか?」
そう感じてしまうのですよね。
もちろん、そうすることで選択肢が増えるのであればそれは相談援助として正しい方向性だと思うのですが、なかにはそんな介入が却って苦しめてしまうこともある。逃げ道を塞いでしまうと言いますか、追い詰めてしまいかねないことにもなります。

そんな場合の多くが、そもそも理由として挙げているものが本質ではなかった、というものです。
人はどうしても、自分の決断に正当性や同意を求めます。その方が安心できますしね。
その結果、自分の本心とは違うもっともらしい理由を見つけて、決断の根拠としてしまいがちです。
ですが本当の決断とは、自分の心に従った時にこそ後悔がないものです。

本当の理由なんて自分本位で自分勝手なものでも構わないんですよ。
例えば
「朝早く起きるのが辛い」
「社員食堂の味が合わない」
そんな我儘な理由でもいいんです。
だって自分の人生ですから。
ですが、そんな個人的な価値観からの決断を
「そんなのはただの我儘だからもっとちゃんとした理由がないといけない」
そう考えてしまった結果、自分の本意とはズレたもっともらしい理由を見つけて、自分をも騙してしまいます。

もちろん、社会的には表向きの理由も必要です。でもそれはそれ。
本当の理由は自分が納得できていればそれでいいんです。

なので私は、退職や離職を悩んでいる相談者には、本当の理由をはっきり自覚してもらうことを心掛けています。
時にそれは自分と向き合う作業になるので苦しさを伴う時もありますが、自分の本音を認められた時多くの方はすっきりと納得感を得て決断してくれます。そして理由が明確になっていれば次にも活かせます。

たった一度の自分の人生です。そして自分とは一生のパートナーです。
せめて自分には嘘をつかず、自分に正直に決断することをお勧めします。


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2022年8月12日金曜日

夏は怒りっぽくなるかも?



毎日暑い日が続いています。地方によっては雨の被害も出ているようですが、被害に遭われた方の無事を願います。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。

早いものでもう8月も中盤、早い人は8月11日からお盆休みに入っているのですかね。
今年は3年ぶりの規制なしの盆休みということで、各地が人で賑わうのではないでしょうか。

今年の夏も暑いですが、夏の気温の基準として『不快指数』という言葉があります。
気温の暑さと湿度の高さで体感温度が上がり、蒸し暑さを表すのに考案された指数です。
1959年アメリカの天気予報で発表され始めたそうで、0.72×(気温+湿球温度)+40.6の式で計算するのだそうです。

ところで、そんな指数にもなるような『不快』とはどのような状態を指すか、じっくり考えたことってあまりないですよね。
不快な気分といえば、「嫌な気持ちになること、不愉快であること」なわけですが、なんだか曖昧ですよね。
カウンセリングでもクライエントさんからよく語られる「不快な感情」とはどのような感情なのでしょうか。

まずは人の感情の発達について少し説明を。
人間は生まれて間もなくの間は感情を細分化する能力に乏しく、特に生まれた直後に持つ感情は『興奮』のみです。
それから3か月で『快』『不快』を感じることができ、その後も成長に従ってさらに細かく枝分かれしてゆきます。
『快』の細分化としては、喜び・楽しい・気持ちいい・爽やかなど。
『不快』の細分化としては、怒り・ひがみ・不愉快・憎しみなど。
どれも大きく分けると『快』か『不快』だけど、微妙にニュアンスが違いますよね。
人の感情ってそれほど繊細なものです。
そして原始的な二対の一つである『不快』というのは、人間の最も根本的な感情と言えます。

さてここで冒頭にも出てきたお盆休みの話題に戻しますと。
盆休み名物と言えば、里帰りや行楽につきものの高速道路の渋滞や、近年ではそれに伴ってあおり運転などの交通トラブルがあります。
そういったイライラや怒りを感じやすい状況に加えて、この時期はただでさえ暑さで不快指数が高い。これはもうトラブルも起きて当然なのかもしれません。
だって、不快指数が高いということは、怒りや不愉快に近い気持ちになっているということですから。
そもそも人は自分のすべての感情を正確に自覚できているわけではなく、近い感情と錯覚してしまうことがあります。
特に不快という同じカテゴリだったら尚更です。
怒りだと思ったら羨ましくて僻んでいたり、なんとなく不愉快だなと思っていたら憎しみだったりと。

だからこそ、
不快指数が高い時は気持ちが乱れやすく怒りの沸点が低くなっているかもしれない、
ということを念頭において、いつもよりも自制心を持つことが必要なのかもしれません。

不快に流されてしまって楽しいはずの旅が無用なトラブルに見舞われてしまわずに、楽しいお盆を過すためにも頭の片隅にでも覚えて置いてもらえるとよいかもしれません。


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2022年6月3日金曜日

選択に悩んだ時は本質の整理が大切


新年度も2か月経ちました。
新社会人の人もそろそろ会社に慣れてきたころではないでしょうか。

企業で相談業務をしていると、この時期に多いお悩みがあります。
それは、仕事を続けるか・辞めるか、という悩み。
社会人の悩みとしては、人間関係に次ぐ多さです。

周囲の人に相談したら、きっと色々なアドバイスを、時にはお叱りなどもらえるでしょう。
「今は終身雇用なんて時代じゃない。辞めるべきだ」
「仕事は3年続けてから考えろ。今は頑張って続けろ」
「嫌な仕事を続けて鬱になるくらいなら、辞めるべきだ」
「今の仕事から逃げたらきっと次も逃げ癖がつくよ」
肯定派否定派ないまぜにして、代表的なアドバイスはこんなところですかね。

そんな周囲のアドバイスで決断できる人もいれば、ますます悩んでしまう人もいます。
こういったアドバイス、きっと相手のことを想っての親切心からなのでしょうが、大切なことが抜けているとむしろ相手を傷つける言葉になってしまうこともあります。

その大切なこととは、
『その悩み・迷いの本質は何?』
ということ。

仕事を辞めるか否かというのは、あくまで行動の選択を悩んでいるわけで、その行動の根源にある本質を無視しては納得のゆく決断は得られません。
要は『辞めたい』のか『辞めざるを得ない』のかと言ってもいいかもしれません。

例えば、
「仕事が嫌なのでこの会社では働きたくない」
というのであれば「辞めたい」というシンプルな気持ちからくる欲求なのでしょう。辞めるという選択肢は立派な意思として尊重できます。
辞めた結果の金銭面の不安や再就職への課題などはまた別の問題として、それら要因も含めて決断するか否かを検討すればいいでしょう。

ですが、こんな理由だったらどうでしょう。
「仕事自体は楽しいが上司とそりが合わずにパワハラまがいの扱いを受けており、このままでは心を病んでしまいそう」
これは、ストレートな欲求ではなく「辞めたくないが辞めざるを得ない」という葛藤であり、問題の本質は辞めるか否かではないことが見落とされがちです。
だって、上司からのパワハラが無くなれば仕事を辞めないでもいいわけですから。

まずすべきことは、辞めるか辞めないかを悩むのではなくパワハラという問題を解決することに目を向けるべきです。
その結果問題解決が難しい場合、辞めるか否かという問題に取り組むのが順番ではないでしょうか。

この、本質を見落としてしまうという現象は様々な悩み事で起きます。
代表的なもので言うと『自死』の問題もそうです。
多くの場合、死ぬことが目的ではなく、現状の辛さから逃れるために止む無く死を選ぼうとしている。
死を望んでいる人に、悩みがすべて解決してもそれでもなお死にたいか、そう問うた時にyesと答える人は稀です。
つまり、死は目的ではなく手段として選ばざるを得ない状態だということ。
だとすれば、まず着手することは死にたいほどの悩みを解決する手段を模索すること。
ところが大きな悩みに直面している時は、視野が狭くなってしまいそれ以外の選択肢が無いように感じてしまい、短絡的な思考に陥ってしまうものです。

そんな時は、今一度考えてみてください。
一人で考えるのが難しければ周囲の人に相談してください。
『この悩みの本質は何か? 自分の本心は何を望んでいるのか?』
大きな悩みも小さな悩みも同じです。その一番シンプルで本当の欲求を満たすことを目的に手段を考えると、見落としていた解決策や意外な答えに気づくかもしれません。


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2022年5月25日水曜日

他人という集団の中の個人という自分



まだ予断は許さないとはいえ、コロナウイルスの感染拡大は落ちついてきているようです。コロナの影響で、ここ数年は人数を集めての研修など控える企業も多かったのですが、徐々に通常通り行う企業も増えていています。特に5月は新人研修や年度初めのメンタルヘルス研修などが集中します。

企業へのメンタルへルスの仕事では研修だけでなく個人面談(相談)も行っており、その相談内容としては個人的な悩みや仕事のやり方などもありますが、やはり多いのが職場の人間関係です。
職場や学校など集団の場での人間関係というのは、どうしても悩みの種になってしまうものですね。

少し前に寺沢武一の漫画『コブラ』みたいな某芸人さんが、人間関係について
「他人の集合体なのだから、わかり合えない人が居ても自然なこと」
との発言が名言とされていましたが、同意したくなるほど皆さん思うところがあるのでしょうね。

職場など組織の人間関係について、こんな理論があります。

社会心理学者の三隅二不二の提唱した『PM理論』では、組織の理想的なリーダーに求められる機能として、
仕事の結果や効率重視の『目標達成機能』と
人間関係を良好に保つ雰囲気を作る『集団維持機能』があり、
そのどちらも満たすことが、リーダーの素養として求められるとされます。
円滑な人間関係というのはそれほど重視されているということですね。

そんな人間関係、リーダー的役割の人が雰囲気づくりを頑張るのは前提として、個々人にも求められるものがあります。
それは『社会性』
社会集団の一成員としてふさわしい性質のことですが、わかりやすく言うなら社会・世間と適応することです。
社会性を逸脱してしまうと、一般社会に受け入れられなかったり馴染めなかったりして集団生活が難しくなってしまいます。

例えば、芸術家の逸話など聞くと「さすが、芸術の才能がある人は普通とは違うのだな」と好意的に見られますが、同僚だと考えるとちょっと困ってしまうのではないでしょうか。

社会で生きてゆくには社会性も必要ということですが、これが難しい。
その難しさの本質は『社会性』と『自分らしさ』の調節です。

『自分らしさ』とは、常識や規範に囚われないありのままの自由な自分の事。
本来なら自分らしさを十分に表現できることが生き物としては理想ですが、集団で生活する場合はある程度の節度が必要になります。
逆に芸術家などは、社会性の欠落そのものが作品の魅力に表れたりするので才能ともいえるのでしょうが。

会社組織で集団で業務にあたる場合は、自由過ぎるのは身勝手や異常性、スタンドプレーになりかねません。
とはいえ、社会性を重視しすぎて自分を押し殺すのも、窮屈だし折角の個性が活かせない。そもそも心の健康に良くない。

そんな『社会性』と『自分らしさ』。
その二つの丁度いい調整・落としどころを探すことが、人生の生きやすさには肝要となります。
とはいえ、そのバランスには決まった正解があるわけでなく、職場の社風、雰囲気やそこにいる人たちの性質、そして個人の性質の兼ね合いによって最適な形は変わる、そんな曖昧なものです。

社会の輪の中に入りつつ自分らしく生きる。極端でなく丁度良い具合を見つけることは難しいことではありますが、会社にとっても、なにより我々個人の生きやすさにとっても大切なことです。


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2022年5月2日月曜日

マスク社会におけるコミュニケーションの難しさ



5月に入りました。世間はゴールデンウィークですね。

特に今年は数年ぶりの行動規制なしの大型連休ということで、各地が賑わっているようです。
感染症対策を図りながらの行楽という、ある意味相反するものではありますが今後はこういったことにも慣れていき少しずつ日常にシフトしていく必要もあるのでしょうね。

そんな中で一つの課題となってゆくのだろうなと感じているのが『マスクトラブル』です。 
要するにマスクを着用するか否かという対立なのですが、これが結構難しいなと思います。
そもそも、唯一の正解がないわけですから。

識者によっても推奨派と非推奨派が居て、更にその条件も様々に説があるのが現状です。
統一された常識がない状態というのは、どうしてもトラブルが起きやすくなってしまいます。

例えば、人間社会で生きている以上は法律を遵守しなければ罰則を受けるという絶対的なルールがあります。とても単純明快でわかりやすい。
法律の不備などの問題点はあるものの、法の存在というのは明確な正義と悪が決めやすく、意見の対立が起きた場合でも法という判断基準が対立をシンプルな構造にしてくれます。

しかし昨今のマスク事情は、都道府県等による呼びかけはあってもそれはあくまでもお願いであり強制力はありません。
その結果、個人の意思や解釈という曖昧さが生まれてしまいます。
お互いに「これが正しい、自分が正義だ」と思うわけですから、明確な善悪がなくどちらかが譲らない限りこの対立は終わってくれません。
そしてこれは、現代のマスク事情で表面化しやすくなりましたが、実はコミュニケーションの本質でもあります。

法に定められていないルールや常識はあくまで個人の主義主張であり、他者と共有できないものも日常に多く存在します。
暗黙の常識という不文律なルールは多々ありますが、それもやはり万人に共通のものではなく、同調圧力による強制という非常に曖昧な位置付けとなってしまいます。

コミュニケーションって難しいですよね。
自分にとっては正しいことでも他者にとっては悪とされることかもしれない。
そこで必要になるのが『譲り合い』や『落としどころ』というこれまた曖昧なものです。
相手や状況、立ち位置によって柔軟に、その都度変化する正解を見つけてゆかなければならない。
特に発達障害の一部の症状では、そういった柔軟性や共感性を必要とする対人的相互関係を築くことが上手くできずに社会生活の生き辛さを感じる方も多くいます。

大切なのは、自分と相手は同じ主義主張・感情ではない、ということを知ることです。
自分にとっては正義でも他者はまた別の正義を持っていて、齟齬があることを前提に、相手を理解しようとしたり自分を理解してもらおうとする努力が必要だということ。
自分の主義主張を他者に強制するという行為は、衝突や対立などのトラブルが起きるリスクを自覚すること。
つまり、社会という枠組みの中で生きている以上、自分目線だけで他者への配慮が足りないとトラブルになってしまいますよ、ということですね。

それを意識して他者と関わることで、自分の行動に責任を持って判断することができるのではないかと思います。
他者と関わるという意味をしっかり意識して、無用なトラブルが起きないようにしてゆきたいものです。

※ちなみに当ルームでは現在、利用者様の安心・安全を保つことも運営管理者の責任として、カウンセラー・クライエント共にマスク着用を許容頂けることをご予約の条件としております。色々なお考えをお持ちの方もいるかと思われますが、当ルームのご利用の際におきましては何卒ご理解頂けますようお願い致します。


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2022年4月13日水曜日

カウンセリングの主役はあなた


4月も半ばになりました。この時期は新規のクライエントさんが増える時期です。
学校や会社などで新しい環境が始まり、はじめは目の前のことをこなすことで精いっぱいだった日々から少し落ち着き、疲れや違和感、ストレスなどがだんだんと実感できてきます。
もしかしたら今も、カウンセリングを受けることを検討しながらこのブログの記事を読んでいるいる人もいるかもしれません。

ということで、カウンセリングではどのようにお悩み解決の力になれるのか、についてを書かせて頂こうかと思います。
※世の中にはたくさんのカウンセラーさんがいますので、あくまで私のスタンスでありカウンセリングのスタイルですからね。むしろクライエントさんたちの話を聞く限りは珍しい部類のスタイルかもしれませんのでご理解くださいませ。

さて、まず私は基本的に、悩みの解決に必要な『正解』や『方法』はクライエントさん本人が一番知っているし、答えはすでに持っている、と考えています。

それは、私のカウンセリングスタイルの中心である『人間性心理学』もしくは『ヒューマニスティック心理学』と呼ばれる潮流の特徴でもあり、個人を尊重するという立場からの考えであり、かつての指導的・指示的なアプローチではなく、人間個人の持つ主体性・創造性・自己実現といった人間の肯定的側面を重視したものになります。

簡単に言うなら、
人には本来自分で回復したり成長する力があるから、助けてあげようなんて偉そうだよね。そもそも悩みの内容も一人ひとり違うわけだから、解決方法も一つだけじゃないし、その人にあった解決方法は自分が一番探しやすいよね。
といった感じでしょうか。

そもそも、解決方法を他人であるカウンセラーが教えたところであまり意味がありません。なぜならそれは一般的なものだったり、ただの正論だったり、またはそのカウンセラーにとっての解決方法だから。
なので、一般的な解決方法やカウンセラーの考えを伝えることはあっても、それはあくまで参考としてであって、その人にとっての最適な方法はその人の中にしか存在しない、という理由です。

というと、
「じゃあカウンセラーなんていらないじゃない」
そう言われてしまうかもしれませんし、
「結局助けてくれないんだね、自分一人で乗り越えるしかないのか」
そんな悲しくて淋しい印象を持たれてしまうかもしれませんね。

でも安心してください。
解決方法はその人が自分で見つけなくてはならない、というのはその通りですが、一人で頑張ってもらうのをただ待っているだけではなく、その人の解決方法を見つけられるためのお手伝いをすることがカウンセラーの役割です。

そのために、クライエントさんとカウンセラーは一緒に様々なことに取り組みます。
・悩みを整理したり
・原因を限定したり
・気持ちの傷つきを癒したり
・具体的な方法のアイデアを提案したり
・アドバイスをしたり
・心理療法を提供したり
・トレーニングをしたり
・心理教育をしたり

そうして、クライエントさん本人が問題に取り組めて、解決を見つけられるための最適な環境を用意するのが、カウンセラーの役割であり存在意義だと考えます。

なので、カウンセラーに任せても解決はしません。しかし協力は惜しみません。そのかわり、クライエントさんにもたくさん考えてもらいますし、頑張ってもらいます。
だって、クライエントさんの人生ですから、主役はクライエントさん本人です。カウンセラーはあくまで舞台での黒子のようなもの。

自分の悩みを自分一人では抱えることが辛かったり、扱いきれないと感じたなら頼ってください。
カウンセラーは、あなたが自分で自分の悩みを解決できるための力強い味方になります。


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