2016年5月16日月曜日
悲しみの雨に傘を
沖縄の方は梅雨入りだそうですね。
私は雨というのがあまり好きではありません。というと少し語弊がありました。
雨ではなく、『傘』が好きではないんですよ。
理由は簡単で、傘をさすと手がふさがってしまうから。
荷物を持って、傘をさすと両手がふさがってしまうので不便ですよね。
そういえば以前に、こんな概念的なお話をしてくれたクライエントさんがいました。
そのクライエントさんは、『悲しい出来事』を『雨』と表現されていました。
だから、その悲しみで濡れてしまうのを防ぐために、心に傘をさすのだと。
なるほど言いえて妙だな、と思ったことを覚えています。
そして、このようにも思いました。
傘をさすことで、濡れることは防げるけれど、片手がふさがってしまいます。
もしその人が、荷物も持っていたら、空いている片方の手も塞がってしまうでしょう。
更に、荷物がたくさんで、かつ重いものであったら片手では足りずに傘を捨てて両手で荷物を持たざるを得なくなってしまうでしょう。
そうすると、体は雨に濡れてずぶ濡れになってしまいます。
そして、その状態では誰かに救いの手を伸ばすことも、誰かの手を取ることも、できなくなってしまいます。
悩みや悲しい出来事に、心を痛めてしまうというのはそのような状態と言えるのではないでしょうか。
悩み事という重い荷物を抱えてしまい、身を打つ雨を遮ることもできず、助けを求める手を伸ばすこともできなくなってしまっている状態。
それはとても冷たく、辛く、苦しいものでしょう。
だから、我々カウンセラーの役割とは、
時に、荷物をまとめることや、整理する手伝いをして、少しでも重荷を軽くすること。
時に、一時的に代わりに傘を持って寄り添うことで、片手だけでも自由が利くように手伝うこと。
そんな、クライエントさんが雨で濡れてしまうのを防ぐ存在が我々カウンセラーなのではないかな、と。
悲しことがあれば雨も降るでしょう、それは仕方ありません。
大切なのは、その雨をどのように対処するか。
カウンセラーという役割の私なりの一つの解釈です。
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