2016年2月1日月曜日
環境と役割が人を作る
『es[エス]』という映画をご存知でしょうか。
2001年公開のドイツ映画でなのですが、この映画実話が元になっています。
1971年にアメリカのスタンフォード大学で実際に行われたスタンフォード監獄実験という心理実験が元となっています。
スタンフォード監獄実験というのは、
新聞広告などで集めた普通の大学生などの70人から選ばれた被験者21人の内、11人を看守役に、10人を受刑者役にグループ分けし、それぞれの役割を実際の刑務所に近い設備を作って演じさせた。
その結果、時間が経つに連れ、看守役の被験者はより看守らしく、受刑者役の被験者はより受刑者らしい行動をとるようになるという事が証明された。
という内容の実験でして、
これは、閉鎖的な状況下で、権威者に従ってしまう傾向が強くなるという心理実験である『アイヒマン実験』の一つのバリエーションです。
この実験の恐ろしいところは、
権力という上下関係ができることで理性に歯止めが利かなくなるという『権力への服従』。
そしてもう一つ、『非個人化』にあります。
非個人化とは、『環境』と『役割』を与えられたら人はそれに従ってしまう、ということです。
これは、アイヒマン実験のように『権力』というものがなくとも、
人は『環境』と『与えられた役割』によって自意識や自我が思っているよりも容易く影響されてしまうことは珍しくありません。
例えば、『馬鹿なやつ』『いじめられっこ』『面倒な人』
というレッテルなどは、周囲からそんな役割を押し付けられている内に、段々とそれが事実のように感じられてしまい、いつの間にか自分自身もそんな自分を受け容れてしまうこともあります。
しかし逆に、
『立派な人』『優秀な人』などのポジティブなレッテルも、周囲の目によって作られ、いつしかそれが事実となっていくこともあります。
だとするなら、理想の自分になるためには、
まずは周囲の人にそんな理想の自分を演出してみる、というのも有効なのかもしれません。
例え、自分ではまだ不完全だとわかっていても、理想の自分に見られるように演出する。
すると、その環境と役割によって、自然と理想の自分にも近づけるのではないでしょうか。
その為に、まずは格好から入ってもいいし、多少なら背伸びをしてもいいのではないでしょうか。
『嘘から出た誠』ではないですが、それに強い意思が伴っていれば、実現する可能性は高くなると思いますよ。
アイヒマン実験とはかなりズレてしまいましたが、こんな自己実現の方法もあるかもしれませんね、ということで。
この映画、2010年にも『エクスペリメント』というタイトルでリメイクされているようですので、
興味のある方はご覧ください。
ちょっとショッキングというか怖いところもありますので気をつけてくださいね。
たるみでした。
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