2016年2月5日金曜日

鬼は必要悪?

 今日はもう5日なので、二日前の話になってしまいますが、
2月3日は『節分』でした。

節分といえば、「鬼は外、福は内」の掛け声とともに豆をまく行事です。
最近では恵方巻きを食べて無病息災などを願う行事でもあります。

日本の行事ではよく『鬼』という存在が出てきますね。
昔話をはじめ、民話や郷土信仰でも敵役としていつも退治されてくれますしね。

この『鬼』とはいったい何なのでしょう。
その特徴的な外見は、仏教の鬼神である羅刹がモチーフなようですが、
一説によれば、漂流した外国人を見て、その外見からさらに細かい鬼の視覚的なイメージが定着していったとも言われています。
ちなみに天狗も外国人の外見がルーツという説もあったりします。

外見的な特徴はともかくとして、『鬼』という概念ははるか昔から浸透しており、人間にとって恐るべきものとして認識されていました。

本来『おに』の語は『おぬ(隠)』が転じたもので、
姿の見えないものや、この世ならざるものであることを意味しており、
所謂『恐ろしいもの』『怖いもの』『悪いもの』の総称としてそう呼ばれてきていました。
つまりは、「なんだかよくわからないけれど怖い」物はすべて鬼の仕業であり、
そしてその概念は時代が反映されており、
『飢餓』『疫病』『厄災』などは総じて鬼の仕業として語り継がれていました。

この考え方は、現代ではありえないものかもしれません。
科学や医学が発達し、地球の裏側の情報すらも知れる現代では、『わからないもの』が圧倒的に減りました。
結果、それまでは『鬼』や『悪魔』の仕業とされていたことも、その正体を知れるようになりました。

それって、いいこともあれば悪いこともあると思います。
私は心理カウンセラーです。
当然その背景には、臨床心理学という学問があります。
その理論に照らし合わせてゆけば、たいていの症状には説明がつきます。
そう、説明がついてしまう、ということが問題になるときもあるのです。

『鬼』が信じられていた時代なら、全ての心の問題は鬼のせいにして、それを祓うという儀式で解決したのかもしれません。
抑うつな状態が続くのなら、
「陰鬼という鬼がそなたに憑いておる。だから祓ってしんぜよう」
そう信じることで、そしてその鬼が祓われたと安心することで、感情に変化が起こることだってあるのでしょう。

それは決してインチキではなく、立派な一つの治療法なのだとも思います。
もちろん全ての症状に効果があるとは言いませんが、決して笑い飛ばせるものではないと思います。
もし私に、自分でも一般常識を覆せると信念を持てるほどのスピリチュアルな才能があれば、違ったタイプのカウンセラーになっていたかもしれません。

曖昧だったものが曖昧さを許されなくなった。
それが、現代の問題となっているメンタル事情の要因の一つなのかもしれません。

時代によって心へのアプローチも変わる。たるみでした。


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