愛知県名古屋市での児童虐待相談件数が過去最多の2340件余り、
全国でも過去最悪の73765件だそうです。
単純な数字ではなく、日々の報道などで社会的な関心が高まったことからの相談数の増加という見方もできますが、それでも見過ごせる数字ではありません。
『虐待』と言ってもひとくくりにできるものではなく、
身体的な暴行を加えるものから、暴言を浴びせるなど心理的虐待、ネグレクトと呼ばれる育児放棄など内容も様々です。
そして難しいのがその線引。
『しつけ』と『虐待』の境界はとても曖昧で、判断が遅れたために悲しい結果になってしまうケースも少なくありません。
カウンセリングの場でも、『虐待』というキーワードはよく扱われます。
割合的には女性、つまり母親が多いですが、
「私は虐待をしてしまっているの?」
そんな、自身の子どもとの関わりに不安を持っているお母さんはとても多くいらっしゃる印象です。
そんな『虐待』ですが、心理的に考察した時、『連鎖』というものが挙げられます。
虐待を受けて育った子どもは、将来自分が親になった時に虐待をする場合が多い。
乱暴にいうとそういうことなのですが、勿論全てではないですし、そう無責任に言い切れるほど簡単なものではないことをご理解いただいて続きをお読み下さい。
一つの解釈として、『親の愛情』の受け取りかたに不慣れであるということが言えます。
つまり、親から愛情を与えられなかったため、自分が親の立場になった時に愛情の与え方を知らないということです。
人は生きていく中で、色々なものを経験することで学び、成長していきます。
『愛される』という経験が不足していた場合、『愛し方』もわからないままになってしまいます。
なので、虐待を受けて育った子どもも、周囲に愛情を教えてくれる大人がいた場合は虐待の影響に多少の軽減があるようです。
ある意味虐待という行動は、行うその人の内に傷ついたまま居続ける子どもの頃の自分の悲痛な叫びなのかもしれません。
確かに子どもの頃の、満たされなかったという経験はハンデとしてあるでしょう。しかし、それに気づいた時、自らの過去を癒すことも可能です。むしろ、自分自身でしか癒せないものかもしれません。
実際私はカウンセリングの現場で、過去の傷、そこからの悲しい連鎖を断ち切った勇気ある方をたくさん見てきました。
子どもは、未来への可能性の詰まった大切な存在です。
そんな子どもたちが幸せに健やかに育っていける社会づくりを。
それが我々大人に課せられた責任なのだと思います。
『子供には、批判よりも模範が必要である』とはフランスの哲学者ジュベールの言葉でしたか。
その言葉の重みを感じるたるみでした。
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