2015年11月20日金曜日

共感という技術


事務所の近くの公園に設置されている喫煙所で一服することがあるのですが、
カラスが多い公園で、これまでさほど興味のなかったカラスの生態を知るよい機会となっています。

カラスの生態の中でも一つ面白い特性がありまして。
カラスという動物は、『遊び』を行うことができるのだとか。
『遊び』というのは高い知能を有していて初めて行えるものです。

そこで今日出会ったカラス。
飲み捨てられていた瓶(ポイ捨ては良くないですが)、おそらくワンカップでしょうか、その瓶をカラスが足で押さえて口ばしでつついたり、中をのぞいたり、、立てては転がしてをずっと繰り返していました。
はじめは、中に残っている酒を飲んでいるのかな? カラスって酒飲むのか?
などと思っていたのですが、しばし見ていると気付きました。
これは、遊んでいるのか? と。

ちょうど、犬がボールで一人遊びをしているように。
自分で転がして、それを追いかけ捕まえるように。

その行動が遊びであるとは、人間である私たちには理解はできません。
しかしずっと無心で見ていると、だんだんとその行動をしている動物が『楽しんでいる』ということが伝わってきます。

表情に表せるわけではないですし、もちろん言葉で「楽しいよ」と伝えてもくれません。
しかし、人間としての価値観や常識を外して、その行動を観察しているとだんだんと行動の意味が見えてくるような気がするのです。

カウンセリングの技術の中には『共感的理解』というものがあります。
相談者の感情を、あたかも自分のもののように、時には本人以上に共感して理解するということで、共感的理解を示すことは相談者の解決にとって効果的な技術だとされています。

ところがその技術、実践することはおろか、人に説明することもとても困難です。
私自身、きちんと有効に行えているか、と問われれば「おそらく」としか答えられないほど曖昧で確信の持ち辛いそんな高等技術です。

しかし、今日カラスを眺めていて体験したこの感覚。
決して自分という存在だけでは到達しないであろう感覚を、自分という存在で理解したあの体験。

それこそが、『共感的理解』と呼ばれるものの正体なのではないかと思いました。
心を通わすという本質がそこにあるのかもしれません。

カラスが可愛く思えてきた。たるみでした。


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