また、起きてはならない事件が起きてしまいました。
『龍神』を名乗り心霊治療を行っていた男が、重度の糖尿病の7歳男児にインスリン投与をさせず死亡させた疑いで、殺人容疑で逮捕されたとのことです。
男はいわゆる『祈祷師』を名乗っており、治療と称して数百万という額を受け取っていたということです。
病気の子供を持つ親の、藁にもすがりたいという気持ちを利用した、人の弱みに付け込む、という決して許されない行為です。
私も心理カウンセリングという職業柄、悩みを抱えた方たちと関わることが自然と多くなります。
その中にも、「なんとかしてもらいたい」という思いをもって来談される方も少なくありません。
本来カウンセリングとは、我々カウンセラーが『助ける』『救う』のではなく、相談者が自身で解決することの援助となります。
(後述しますが、カウンセリングにも種類やスタイルが多数あります。あくまで私のカウンセリングは、ということだとご理解ください)
ですので、相談者が悩みの解決を我々に任せようという姿勢で助けを求められた時には、
しっかりと、カウンセラーは援助者であり解決人ではないということを伝えすることを徹底しています。
なぜカウンセラーが助けないのか。
理由は、できないからです。
その方の悩みはその人だから生まれた悩みであり、また解決方法も誰かと同じ方法では効果が約束できません。悩みの本質はその人にある場合が多いので、外部から与えられた解決法では意味がないことも多くあります。
そもそも、「わたしならこうするけどね」と提示された解決方法が万能なら誰も悩んだりはしません。
念のため誤解のないように言いますが、悩んでいる人が悪いというわけでは決してありませんよ。一人としてまったく同じ悩みを抱える人はいないのに他人が簡単に解決などできない、という意味です。
そんな、とても繊細な扱いが必要なものに対して、ろくな知識も責任も持たずに
「私に任せろ」などと言い切ることの怖さを、愚かさを、恐ろしさを
今回のこの事件のような出来事が起きるたびに感じます。
そして私が本当に怖いと思うこと。
この自称『祈祷師』の男が、詐欺目的で偽っていたのか。
それとも
本当に自分に治癒の力があると信じて行っていたのか。
そのどちらだったのか、ということです。
もし後者だったのなら、今回の結果に至った背景に
『善意』『親切』『助けてあげたい』
そんな想いを持って行っていた好意だとしたら。
それは、取り返しのつかないほど悲しく、愚かで、恐ろしいことです。
「よかれと思ってやったことが、逆に相手を苦しめてしまった。」
そんな軽く済ませられることではありません。
私のルームにいらっしゃる相談者さんは、それまでも色々なカウンセリングを受けてこられた方も少なくありません。
そして、こんな言葉をよく言われます。
「こんなにちゃんと話を聞いてもらえたのは初めてです」
「私はこんなカウンセリングが受けたかったんです」
私は特に珍しいことや高度で難解なテクニックを持ちているわけではありません。
ただ、基本に愚直に、相談者さんを第一に、当たり前のことを提供しているに過ぎません。
しかし、それが当たり前に提供されていないカウンセリングも数あると言うことなのでしょう。
そんな現状に、悲しさと、情けなさと、怒りを感じずにはいられません。
善意は確かに大事でしょう。人を援助する立場のものにおいては基本的に持ち合わせてしかるべきものでしょう。しかし、それだけでは足りないし、逆効果にもなってしまうこともあります。
正しい知識と、それを扱う自分を常に確かめることが必要となります。
専門家としての責任を持つことを忘れずに。たるみでした。
※お知らせ
教材用のカウンセリングDVD制作を計画しています。
つきまして、ボランティアでクライエント役をして頂ける方を募集しています。
興味のある方は下記宛先『名古屋 栄カウンセリング』までメールでのご連絡お待ちしています。
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