2015年6月30日火曜日

当たり前のように、という技術

今朝のことです。
着ていこうと思っていたシャツが、洗濯して乾いたばかりでアイロンがかかっていなかったんですね。
時間に余裕もあったので戯れに、自分でかけてみるか?と思い立ちました。

私は一人暮らし暦も長かったので、料理や洗濯、掃除など最低限必要な家事はこなせるのですが、アイロンだけはやったことがないんですよ。
見よう見まねでなんとかなるだろうと軽く思いチャレンジしてみたところ、

アイロンって難しいんですね。

上手くしわが伸びなかったり、望まないところに線をつけてしまったり。
結局挫折して中途半端で諦めてしまいました。

子供の頃、母親がアイロンをかけている姿を思い返してみると、
とても簡単そうに行っていたように思えます。
難しさなど感じさせず、当たり前のようにさりげなく時には片手間で。
簡単そうに見えて実は細かい技術を駆使していたのでしょう。

『技術』というのはそういうものなのではないかと思います。
難しさを知らないまったくの素人が見て、「おお!すごい技術だ!」
そう思わせるのは、パフォーマンス目的でないとしたら、実はまだ卓越したとはいえないレベルなのかもしれないと。

本当に高度な卓越した技術とは、さも当たり前のように行っているようで、その実素人にはわからないような高度な技術を駆使していることなのではないか、と思いました。

スポーツでも、基本の技を見るとその人のレベルがわかるといわれます。
そしてそれは、カウンセリングでも同じようなことが言えると思います。

カウンセリングを行っている場面を、まったくの素人が見学した時、時にこのような感想を持たれることがあります。
「特に専門的なことなんて何もしてないじゃないか。ただ会話してるだけじゃん」

しかし、そのカウンセリングを受けた相談者はこう言うのです。
「さすが専門家だ。普通に話を聞いてもらうのとこんなに違うとは驚いた」

どうしてこのような印象の違いが現れるのでしょう。
確かにカウンセリングを傍から見ると、ただ何気なく会話をしているだけのように見えるかもしれません。
しかし、その『何気なく』見える所作の一つ一つが繊細に意識され、意味のある工夫が盛り込まれていたりします。
それこそ、相手の話に頷きながら相槌をうって話の続きを促す、ただそれだけの関わりにも何十何百という技術が工夫されていることもあります。
そしてそれらの技術は、決して派手ではなくむしろさも当たり前のように違和感なく行うことが求められます。

カウンセラーになってから、初対面の方などに
「なぜかあなたと話しているととても気分がよいのだけど」
そんな言葉をかけられることが増えました。
もちろん私の職業など知らない方にです。
きっと、無自覚なレベルでもカウンセリングの技術が体に染み付いているのでしょうね。

ナチュラルにカウンセラーでありたい。たるみでした。


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