2015年8月3日月曜日

魔女の秘密展 魔女は幻想?



面白い展示を見に行ってきました。
名古屋市博物館で開催している『魔女の秘密展』
(公式サイトはこちら)

この「魔女の秘密展」では、魔女の起源やその社会的な存在を、時代背景とともに紹介してゆくというとても興味深く楽しめる催し物でした。

魔女というと「悪魔と契約を結んで得た力をもって災いをなす存在」という概念が一般的ですが、社会背景で見ると、社会が不安定になると魔女に対する畏怖や信仰が高まったという傾向があるようです。

その史実から読み取れることは、
人は個人では解決の難しい大きな『災い』に対して、その原因や理由を求めたと考えられます。
簡単に言えば、悪いことは悪い人によってもたらされたと信じたい、というところでしょうか。

日本ではかつてそういった存在として『鬼』がありました。
御伽噺などでおなじみの鬼ですが、もとは飢饉や疫病、作物の不作などの所謂『災い』の象徴として鬼の仕業と考えられていました。

大きな『災い』を象徴的なもの(魔女や鬼)の仕業として理由をつけるのは、その不条理を受け止める為の精神的な安全装置的な考えであると考えられます。
ある意味それら忌み嫌われる存在は、哀れなスケープゴートなのかもしれません。

それは『魔女』や『鬼』でなくとも、『悪霊』『運命』『神の裁き』また時と場合によっては『社会』『時代』などでも代用可能でしょう。
「俺が悪いのではない、時代が悪いのだ!」ってやつですね。

言い方は悪いですが、不運や災害を『なにか』のせいにすることで、ある種の安心を得れるのでしょう。

そしてそれは、我々も日常的に行っています。
どうにもならないイライラを『誰か』のせいにして発散する。
達成できなかった目標を『なにか』のせいにして諦める。

カウンセリングの中でも、自身の後悔や喪失、悲しみなどに対して、『悪者』を設定して気持ちの整理をすることもあります。
そしてそれは決して悪いことではないと思います。
そうすることで、自身が望む解決の形になるのであれば、その方法に善悪も正誤も評価する必要はないと。

ただ気をつけなければいけないのは、本当にそれは解決になるのか、ということ。
一時しのぎの逃避や他力本願、責任転嫁で誤魔化してしまい、結局は本質的な解決になっていないのでは万全とはいえませんものね。
誰のせいでもなく、自分ごととしてしっかり正面から取り組むことも必要になります。

カウンセリングがただのお悩み相談や気晴らしではないと自信を持って言えるのは、そういった関わりを意識していることの専門性ゆえだと思います。

でも時には魔女に押し付けて気持ちを軽くすることが必要な時だってあると思いますよ。たるみでした。

※お知らせ
教材用のカウンセリングDVD制作を計画しています。
つきまして、ボランティアでクライエント役をして頂ける方を募集しています。
興味のある方は下記宛先『名古屋 栄カウンセリング』までメールでのご連絡お待ちしています。



垂水俊輔のカウンセリングの詳細やお問い合わせはこちら
❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈
名古屋 栄カウンセリング
 URL:http://sakaecog.web.fc2.com/
 
❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈