2015年7月29日水曜日

心頭滅却すれば猛暑も涼し?

  
連日の猛暑です。皆さん夏バテなどしてはいませんか?
ただ暑いだけでなく湿度が高いので、気温以上に蒸し暑さが体に堪えますね。
エアコンの冷気が苦手で、とも言っていられないこの暑さ。
どうか適切な対処で体調管理に気をつけてください。

さて、この猛暑をなんとか心理学で乗り切れないかと思案してみました。
『心頭滅却すれば火もまた涼し』などと申します。意味としては
どんな苦痛であっても、心の持ち方次第でしのげるという教え。 無念無想の境地に至れば、火さえも涼しく感じられるということから。
ということなのですが、果たして本当に心の持ち方で肉体的な反応をコントロールすることはできるのでしょうか。

心理実験にこのようなものがあります。
『プラセボ(偽薬)効果』といいまして
本来の効果的な成分の含まれていない偽薬でも、効果のある薬だと信じ込む事によって何らかの改善がみられる事を言います。
つまり、『思い込み』の力で『実際の身体症状』に変化が起こるというわけです。

そしてこれは、『改善』だけでなく『悪影響』にも同じ効果があるといわれています。
例えば、目隠しをした状態で「今からあなたの腕に炎をあてます」と宣言する。そして氷を腕にあててみると被験者は「熱い」と感じるというのです。
他にも、ノンアルコールのお酒にもかかわらず、酔った時と同じ身体反応があったり
陸上競技のタイムを、選手本人にも虚偽に少し早いタイムを伝えていたところ、実際そのタイムで走れるようになった。
などの(真偽不明なものも多数ですが)数多くの実験結果が示されています。

そしてプラセボ効果とは少し違いますが、心理面に対するアプローチで身体症状を軽減することも可能です。
喘息やアトピーなど自分の意思ではどうにもならない身体症状(咳や痒み)に対して、
『自律訓練法』という自己催眠法であり治療技法があります。
これは、呼吸の調整からはじまり、背景公式とされる言葉を繰り返し唱えて自己催眠状態を目指します。
その公式の中に「呼吸が楽」「額が涼しい」などもあり、本来はストレスの緩和や神経症の治療技法でしたが、上記のような身体症状に対しても有効だと言われています。

自律訓練法は名前の通り自律神経を整えることから、『思い込み』とは少し違いますが、自己催眠という部分で考えるなら、
心にアプローチをすることで体の反応に変化を与えることができると考えてよいのではないでしょうか。

カウンセリングでも。上記の自律訓練法を提供したり、『意志』の力や『強く思い込む』ことで状態の改善を目指すこともあります。
例えば、
「苦手意識を持っていたものが苦手じゃなくなった」
「自分では抑えられない震えが止まった」
などは心へのアプローチで現状改善の良い例なのではないでしょうか。

ちなみに、暑さを軽減するために自分に言い聞かせるキーワードだとしたら
「暑くない」ではなく「涼しい」
がよいと思われます。

目標とする理想像は、否定的なイメージでなく肯定できるイメージの方が効果的ですよ。
一言で『思い込み』といってもそこにはたくさんの理論や先人たちの知恵や工夫が詰まっているのです。

だからといって炎天下で汗をだらだらかきながら自己催眠は控えましょうね、脱水症状起こしちゃいますよ。たるみでした。


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