2015年7月31日金曜日

盗作騒動



 
2020年に開催される東京オリンピックのエンブレムについて盗作疑惑が騒がれています。
ベルギーのデザイナーさんがデザインした劇場のロゴマークと酷似しているということらしく。
更には、震災支援のためにスペインのデザイン会社が作ったマークとも配色が似ていると。

これはまた微妙な問題ですねぇ。
確かに似ているかといえば似ていますし、とは言っても『T』の文字をデザインにするとなると限られてしまうような気もしますし・・・・・・。
なににしろ、気持ちよくオリンピックを迎えるためには早く解決してもらいたいものですね。

これまでも『盗作疑惑』『パクリ疑惑』などは度々世間を賑わせてきました。
内容も、今回のようにデザイン的なものや小説の内容、文体、絵のトレース疑惑など。
数々の疑惑が様々な分野でありました。
他人の作品を無断で我が物にするという行為は決して許されるものではありません。

しかしこれは本当に気をつけなければいけないことなんですよ。
私も仕事柄、文章を書く機会が多くあります。
コラムなどの依頼を受けたり、実は以前に小説系のお仕事に足を突っ込んだこともあります。

文章を書いている時に、ふと『いい文章』が降って来る時があるんですね。
「お、これはいい言い回しだ」
「この文章は情景が上手く表現できたな」
そんな納得の文章なのだが、読み返してみるとどうにも違和感がある。

「んー、どこかで見たことがあるような……」
そしてネットで調べてみたり、自分の所有する本を読み返してみたりすると、
なんとびっくり。そっくりな文章や表現が見つかったりします。

これがとても怖い。
慌てて書き換えたりしていました。
勿論意図して盗作をしているわけではありません。
『無意識』なんですよね。

昔読んだ小説の一節、誰かから聞いた言い回し、どこかで見た看板のキャッチフレーズ、CMから流れてきた文言。
自分では忘れてしまっているつもりでも、その記憶はなくなったわけではなく『無意識』の領域にしまわれている状態です。
そして無意識は自覚なく我々に干渉を及ぼします。

かのドイツの精神分析学者であり精神科医のジークムント・フロイトの提唱した『無意識』という概念。
人の心で、意識として自覚できている部分はほんの数パーセントであとは『無意識』という自覚できない領域だという概念です。
フロイトの提唱した概念は、心理学の後の発展になくてはならないものではあるものの、
実際に無意識というものを検証することは不可能ですので、そのパーセンテージの実証は不可能です。
更に発展させたユングの説になると、『無意識』には人類が共通している部分もあるとなるともうその膨大さは宇宙的にすらなってしまいます。

そんな無意識という概念をあてはめるのなら、
我々はこれまでの人生経験が、自覚することなく行動に反映している。
なら、明らかに盗作やパクリであっても、本当に本人には自覚がないかもしれない。
ということです。

自覚がないから罪ではない、とはいいません。
プロとしてそこは責任を持つべきでしょう。
しかし、本人の意思ではどうしようもない場合もあるということです。

だからこそ、商業としての創作活動は一人では行わず、複数の人の手が入ります。
文章の場合は編集さんがそういったチェックもしてくれます。

これは創作という分野だけでなく、我々の日常的な行動にも言えることですよね。
意図的にした行動でない、無意識だったからといって許されないことだってあります。
そして、無意識が行動に干渉する場合、多くが『抑圧』されたものによる干渉であります。
だからこそ、普段から必要以上の抑圧には気をつけなければならないと言えます。

今回のこの騒動、せめて意図的な悪意がなかったものであることを願います。たるみ。


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