2020年10月28日水曜日

なぜ鬼滅の刃は社会現象になったのか



さて、いま日本で最も勢いのある社会現象といえば、そう『鬼滅の刃』でしょう。

単行本のシリーズ累計発行部数は22巻の時点で1億部を突破。

劇場版は10日間で興行収入が100億円を突破。これは『千と千尋の神隠し』の記録を19年ぶりに超えたそうです。

いやはや凄いですね。

これまでも漫画やアニメが社会現象と呼ばれることはありました。

『新世紀エヴァンゲリオン』『涼宮ハルヒの憂鬱』『魔法少女まどか☆マギカ』『進撃の巨人』などが思いつくところでしょうか。

それ以前の漫画アニメブームとの違いは、あくまで漫画好きの中でのブームにとどまらず、一般メディアで紹介され幅広い人気となるといったところでしょうか。

そんな鬼滅の刃ですが、私も連載当時から読んでいました。

先に言っておくと、私自身ファンですし、文句なく面白い作品だと思います。

でもね、どうして数ある漫画の中でこの作品はここまで人気となっているのでしょう。

その辺りを個人的に考えてみました。


まず、世界観やストーリーですが。

確かに『大正時代』『日本刀』『バトルもの』『正義の味方組織』あたりは漫画ファンの好む要素ではあります。

ですが、連載誌である週刊少年ジャンプには似たプロットの作品はたくさんあり、人気漫画になっているものもあれば、一部にしか人気が出ずに残念ながら打ち切りの憂き目にあってしまった作品も数知れずあります。

実際、大正明治あたりが舞台で日本刀で敵と戦うというストーリーは比較的よくあるジャンルなのではないかとすら思います。


それら打ち切り漫画と『鬼滅の刃』の違いは何だったのでしょうか。


理由① 友情・努力・勝利

昨今の漫画の特徴に、努力をしない主人公というものがあります。ライトノベル作品に代表される、初めから強い主人公が労せず敵を倒して賞賛される、という展開を好む層が多いとされ、修行シーンはファンが嫌がるとまで言われるそうです。

それに比べて鬼滅の刃は、過酷な修行シーンを前面に押し出します。

そして仲間たちと力を合わせることで敵を打倒します。

これは、少年ジャンプの三大原則とされるもので、同じく長い人気作品である『ワンピース』にも共通する要素でもあります。

時代が努力を再び求めているのかもしれません。


理由② アニメの制作会社

鬼滅の刃はアニメから一気に人気に火が付いたとも言われています。確かに原作の描写を映像美と評されるまで昇華させた製作会社の功績も大きいでしょう。

似た事例はこれまでもあって、『けいおん』という深夜アニメながら高い人気を誇った作品も、原作の映像化によって成功した例です。

とはいえ、原作に力がなければいくらアニメの出来が良くてもここまでの人気にはならなかったと考えると、やはり原作自体に大きな魅力があるのでしょう。


理由③ 自粛生活の影響

コロナ禍でレジャー全般に制限がかかっている中で、家で気軽に見れるアニメ、読める漫画であり、なおかつそれが多くの人と共感できる流行であったこと。

人は流行を好みます。タピオカやポケモンGOのように、皆が好きなものは無条件で好きになってしまいます。特にSNSが一般化する現代では流行を共有するというのは大きな社会性ともなります。時には同調圧力のようにネガティブな面もありますが。

とはいえ、皆と共有したい!と渇望しているときに「これが人気だよ!」と紹介されれば平時以上に飛びつく人も多くなるのは当然でしょう。


理由④ 日本人の民話的発想

日本では古来より飢饉や疫病など目に見えない災いを『鬼』として扱ってきました。

そして現代は未曽有のウイルス危機に瀕しています。

そこで、鬼(疫病)を倒す物語が我々日本人の集合的無意識に好まれたのではないでしょうか。厳密には吸血鬼ですが、人に仇なす鬼には違いありませんし。

つまり、この時代だからこそ求められていたものだったのではないかと。


さて、長々と個人的な考察にお付き合い頂きありがとうございました。

これだけ長くなっておいて今更ですが、人気作品には小難しい理由なんて関係ない『熱量』『凄み』のようなものがあると思います。

正直、鬼滅の刃は作画は味はありますが癖もあり万人受けするとは思いませんでした。ストーリーも台詞回しも別段目新しいものではなかったと思います。

ですが、読者を引き込む魅力は私も感じます。

色々と理由を並べましたが、あくまで人気が出た理由であって、面白い理由ではありません。

むしろ、面白いものでも人気に繋がらない作品も多数ある中で、ちゃんと面白い作品が評価されたというのは喜ぶべきことなのでしょうね。


最後に私の好きなキャラクターは岩柱・悲鳴嶼行冥さんです。

あの優しさと厳しさに裏打ちされた頼もしさに憧れるわぁ。

あと継国縁壱さんと宇髄天元さんも好き。


2020年10月22日木曜日

今できること



またずいぶんと久方ぶりの更新となってしまいました。

前回の更新から2か月経ってしまっていました。

もし私なんかのブログの更新を楽しんでくれていた方がいたとしたら申し訳ありません。

ちなみに体調はすこぶる好調なので、体調不良により更新が止まっていたとか、カウンセリングルームを休業していたとかではありませんのでご安心くださいませ。


最近の私の状況報告から。

とても忙しい毎日を送っています。

このコロナ禍の中、企業の研修やセミナー、講演等のお仕事はほぼストップ状態ではありますが、その分自然と一般のカウンセリングの予約枠に時間を割くことができています。

そして、5月頃から徐々に新規のクライエントさんが増え続けています。

同時に、以前通ってくれていたクライエントさんが再び継続で通われる件数も増えており、ほぼ毎日一日中カウンセリング業務をさせて頂いております。


忙しさをブログ更新が滞っていた理由にするつもりはありませんが、ブログ記事作成に割り振る脳のキャパシティが不足しているのは事実です。

私は基本的に、現在進行形の個別ケースに関連するような記事を書くことは避けています。個人が特定できるないものであったり細部を変えたとしても、クライエントさん本人が万が一でも傷つくかもしれない可能性は避けたいという理由であり、法的な意味ではない信頼関係としての守秘義務を順守したいというスタンスからです。なので、カウンセリング漬けの日々だと書くことがないんですよね。


ということで差し障りない範囲での、個人でなく全体的な現状の感想として。

コロナ禍により、カウンセリングを必要とする方が確実に増えていると実感します。

相談内容やお悩みは皆さん違いますが、カウンセリングを決意したきっかけとして『自粛生活』の影響が大きいようです。


まず一つは、単純に外出が減り、色々なことを考える時間が増えたことで、これまでは敢えて考えることをしなかった、または考えるまでもなかったことにまで考えが及び、その結果将来への不安や現在の悩みなどと直面する機会が増えたことによる影響が考えられます。

これは私自身も実感していますが、今年に入ってからの思い出というものが例年に比べ極端に少ないのですよね。

どこへ旅行したとか、誰と会ったとか、こんな出来事があったなぁという、プライベートの思い出がほとんどない。

気が付けばもう10月? と驚いてしまうほどです。

メディアから入ってくる情報もコロナばかりでしたし、外的な刺激が『コロナ』しか印象のないこの10か月だった気がします。

そうなると思考は内側へ向いてゆきがちなものですし、その思考も世界の空気に影響を受けてネガティブな方向へと偏ってしまっても無理のないことでしょう。


そしてもう一つは、コミュニケーションの減少。

感染対策としては仕方のないことですし、未来的な非対面化のシステムの進歩には一役買った面もあるのかもしれませんが、間違いなく人と人の交流の機会が減ったことは我々にとってマイナスな影響となっていると思われます。

他者とコミュニケーションをとることは、それ自体が自分の存在を意識し、時に癒され、時に気持ちを交わし、互いを認め合うものです。

特に感情は、一人では難しくても他者の手助けによって処理がはかどることも多くあります。

例えば、愚痴を聞いてもらって気分が晴れたりとか、一緒に遊んで気持ちが高揚する、八つ当たりすることでイライラを解消したりといったものです。

社会や他者との繋がりは、我々を苦しめることもありますが、その繋がりを通して自分を確立しているともいえます。

社会心理学的には『自己』とは『自己を主体として知る自己』と『知られるものとしての客体の自己』があるとしています。

そして客体としての自己には、物質的自己(衣服や車、貴金属などで作られた物質であり自己の一部)、社会的自己(周囲の人を通して描く自己イメージ)、精神的自己(意識や性格特性など)の3つに分類されます。

つまり、心の健康に他者との交流は欠かせない、ということですね。

それが制限されることにより、孤独感・不安・自身の存在意義などに影響が起きていると考えられます。

特に子ども世代に対しての、自粛生活に伴うメンタルヘルスの対策は政策としても力を入れているようです。


このような情勢の中、カウンセリングを必要とされる方が増えているのは必然と言えるのでしょう。

私が今、結果的に個人のカウンセリングの予約枠を増やせている現状には、必要性という意味があってのことなのではないかとすら思えます。


勿論、感染症医療は直接的な治療として最も必要であり最優先です。

同時にメンタルケアという心のフォローも欠かせないものとなっていると感じています。

私が関われるクライエントさんには数に限界がありますが、このような時代だからこそ、私のできることをでき得る範囲で貢献してゆきたいと考えています。


久し振りのブログで、書きたい気持ちが多すぎて長くなり過ぎましたし、とりとめのない雑文になってしまいました。


更新は少ないと思いますが、私は毎日ルームで頑張っていますので、必要と思われた際にはお声がけくださいませ。

どのようなお話でもかまいません。目的が無くても構いません。ただ聞いてほしいでもいいのです。辛くなった時、気持ちを吐き出したい時、泣きたい時、笑いたい時、誰かと話したくなったらご連絡を。

誠心誠意の気持ちを持って対応させて頂きます。


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