2021年10月5日火曜日

知識は力なり



カウンセリングの中で、心や思考の働きなどについて心理学的な知識をクライエントさん説明することがあります。
心理教育的なアプローチの一種になるのかな?家族援助や教育領域などではよく使用されるのですが、カウンセリングでも有効なアプローチの一つになります。
例えば不安が強い方に対して、不安になるメカニズムを知ってもらうとか、不安軽減の対処法を伝えて練習してもらうとか。要するに専門知識を伝えることで問題の軽減を目指す方法です。

私は知識というのは大切だと考えていて、「なぜこんなことが起きるのかわからない!」と混乱したり無用な自責に囚われることなく「自分の今のこの状態は、こういう理由でなっているのだ」と自分に起きている症状や状態の理屈を知り把握ができることは改善への心強い味方となってくれると考えます。

わかりやすい例をいくつか挙げましょう。

例①
体調不良の時に電車で倒れてしまった人が、それ以来体調が悪くないのに電車に乗ると体調不良を起こしてしまう。
それは、一度倒れた時の恐怖が強く「またああなってしまうのではないか」という『予期不安』が強いストレスとなり症状を引き起こしている可能性があります。
これは認知療法の理論です。

例②
子供の頃に虐待など親と良好な関係を築けなかった人が、大人になってもいじめに遭ったり他者と上手く関係を築けない。
それは、幼少期に親との関係で「自分は愛される存在なのだ」という信念を獲得できなかったために、無意識に同じような経験を繰り返そうとしている可能性があります。
これは交流分析という理論です。

このように、自分の心で起きていることなのに本人は自覚できずにいることで、症状や傾向として問題を引き起こしてしまうことがあります。
※上記の例はあくまで一つの可能性というだけで、必ずそうだと決めつけるものではありません。カウンセリングではその方の詳しい状況をお伺いしながら様々な可能性を探してゆきますのでご安心くださいませ。

そしてこれは冒頭で言ったように、本人だけでなく家族やその障碍受容にも言えることです。発達障害のお子さまに対しては、親が発達の仕組みや段階を知ることで適切な関わりの指針にもなります。

少し話が外れますが、私は子供の頃いわゆる怖い話が好きでした。時代的に冝保〇子さんなど霊能者がたくさん活躍していた時代でもあったのもあるでしょう。
よく出てきた霊体験の経験談で、「巨大な顔が襲ってくる」「部屋に知らない人が現れる」など未知の現象を当時は恐ろしく感じていました。ですが今になれば、それらの現象は認知症の典型的な症状であり霊現象ではないことがわかります。
※認知症の中での『レビー小体型認知症』です。近年では漫画家の蛭子能収さんが公表されたことで話題になりました。
※これもあくまで可能性の一つです。私は霊的現象を否定する立場というわけではありませんので誤解なきようお願いします。

色々な領域の話をしてしまいましたが、お伝えしたいことをまとめると。
まずは自分に起きていることを把握し、原因があるなら原因を明確にして、よくわからないものを理解ができるものにすることで自然と解決方法も見つかってゆく場合もある。ということです。
経験上、理解ができたことで自ずと問題が解決するという例も沢山見てきています。

自分で上手く整理できなかったり理解ができないことも、意外と専門分野では研究されていたりします。
私たち専門家はそういった知識と経験を持って、丁寧に話を聞くことで様々な可能性を模索しながら、その方にとっての最良の解決方法を探すお手伝いをしてゆきます。


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