2020年8月14日金曜日

自殺(自死)ということについて


ブログという一方通行のツールでは、あまり私の個人的な価値観や意見に偏った内容にはならないように心がけています。

特に時事的な出来事は関心度の高さゆえ繊細な精神状態で記事を見る機会も多くなるでしょうし、内容の捉え方も私の意図が上手く伝わらない場合もあるので。

そんな主義を持ってこのブログ運営していますが、相談援助職という仕事柄『自殺』というものが比較的身近にテーマとなる領域でもあることから、俳優の三浦春馬さんの自殺を通して、少し触れようかと思います。

若い方の訃報というのは気が滅入ります。それが自殺であれば尚更です。普段あまりテレビを見ない私ですが、たまたま好きな番組や映画に出演されていたこともあり、爽やかな雰囲気と綺麗な顔立ちで好感を持っていた俳優さんでした。

遺書が見つかっているそうですが、この事件を知った多くの人が、「何故?」と納得できない印象を持ったように、順風満帆な人生のように思えた方の突然の死でした。

私がカウンセリングの中で自殺というテーマと関わっていて知ったことは、自ら死を選ぶというのは、我々が思っているよりはるかに大きなエネルギーが必要だということ。

自殺に繋がる精神疾患として鬱がありますが、鬱症状がひどい時に自殺が起こるのは稀であり、回復期に危険性が高まるとされています。つまり、ある程度の活力や意欲がないと実行できない程に大変な作業だということです。

そのエネルギーを別の方向に向けられれば……と思ってしまいます。

誤解しないでください。「死ぬ元気があれば何でもできる」などという無責任で的外れな励ましを推奨しているわけではありません。

むしろそれが一番の難しいところで、自殺の心理とは折角のエネルギーの方向性が正常に働かなくっている状態であることだと思います。

自殺を意識した人の多くは、それを解決方法だと感じていることに大きな問題があります。

自殺によって悩んでいる状態を『終わらせられる』。

困難を抱えている状態から『抜け出せる』と思い込んでしまいます。

つまり、『死にたい』のではなくあくまで『解決したい』気持ちの結果が自殺という選択肢に繋がってしまったということ。

それは決して唯一の選択肢ではないはずなのに、それしか選べなくなってしまうことこそが問題なのです。

そして同時に自殺を考える一方では、「死にたくない」「生きたい」という欲求も同時に存在しています。そして多くの場合が周囲の誰かに助けを求めています。

ただ、SOSは届きにくかったり、察知したとしても適切な対処がわからず周囲が上手に関われないこと、時には逆に追い込んでしまうことすらあります。

専門的な対応が必要ですし、近しい人物であれば尚更難しくもなることもあります。

今もし身近な人が、またはご自身が『死』に囚われてしまおうとしているなら、どうか専門家の助けを求めることを選択してみてください。

一人で考えては答えの出ない困難でも、誰かの手助けがあれば状況は変わる可能性はあります。

『死』は唯一自分が選べる最後の選択肢かもしれません。ですから、最後の選択肢を選ぶ前に、その他の選択肢を試してみてもらいたいのです。

我々カウンセラーは、あなたの死にたいという気持ちを否定しません。

そのうえで、それ以外の方法はないか一緒に考えることができます。

まずはその心の内を話すところから始めてみませんか。


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