2022年6月3日金曜日

選択に悩んだ時は本質の整理が大切


新年度も2か月経ちました。
新社会人の人もそろそろ会社に慣れてきたころではないでしょうか。

企業で相談業務をしていると、この時期に多いお悩みがあります。
それは、仕事を続けるか・辞めるか、という悩み。
社会人の悩みとしては、人間関係に次ぐ多さです。

周囲の人に相談したら、きっと色々なアドバイスを、時にはお叱りなどもらえるでしょう。
「今は終身雇用なんて時代じゃない。辞めるべきだ」
「仕事は3年続けてから考えろ。今は頑張って続けろ」
「嫌な仕事を続けて鬱になるくらいなら、辞めるべきだ」
「今の仕事から逃げたらきっと次も逃げ癖がつくよ」
肯定派否定派ないまぜにして、代表的なアドバイスはこんなところですかね。

そんな周囲のアドバイスで決断できる人もいれば、ますます悩んでしまう人もいます。
こういったアドバイス、きっと相手のことを想っての親切心からなのでしょうが、大切なことが抜けているとむしろ相手を傷つける言葉になってしまうこともあります。

その大切なこととは、
『その悩み・迷いの本質は何?』
ということ。

仕事を辞めるか否かというのは、あくまで行動の選択を悩んでいるわけで、その行動の根源にある本質を無視しては納得のゆく決断は得られません。
要は『辞めたい』のか『辞めざるを得ない』のかと言ってもいいかもしれません。

例えば、
「仕事が嫌なのでこの会社では働きたくない」
というのであれば「辞めたい」というシンプルな気持ちからくる欲求なのでしょう。辞めるという選択肢は立派な意思として尊重できます。
辞めた結果の金銭面の不安や再就職への課題などはまた別の問題として、それら要因も含めて決断するか否かを検討すればいいでしょう。

ですが、こんな理由だったらどうでしょう。
「仕事自体は楽しいが上司とそりが合わずにパワハラまがいの扱いを受けており、このままでは心を病んでしまいそう」
これは、ストレートな欲求ではなく「辞めたくないが辞めざるを得ない」という葛藤であり、問題の本質は辞めるか否かではないことが見落とされがちです。
だって、上司からのパワハラが無くなれば仕事を辞めないでもいいわけですから。

まずすべきことは、辞めるか辞めないかを悩むのではなくパワハラという問題を解決することに目を向けるべきです。
その結果問題解決が難しい場合、辞めるか否かという問題に取り組むのが順番ではないでしょうか。

この、本質を見落としてしまうという現象は様々な悩み事で起きます。
代表的なもので言うと『自死』の問題もそうです。
多くの場合、死ぬことが目的ではなく、現状の辛さから逃れるために止む無く死を選ぼうとしている。
死を望んでいる人に、悩みがすべて解決してもそれでもなお死にたいか、そう問うた時にyesと答える人は稀です。
つまり、死は目的ではなく手段として選ばざるを得ない状態だということ。
だとすれば、まず着手することは死にたいほどの悩みを解決する手段を模索すること。
ところが大きな悩みに直面している時は、視野が狭くなってしまいそれ以外の選択肢が無いように感じてしまい、短絡的な思考に陥ってしまうものです。

そんな時は、今一度考えてみてください。
一人で考えるのが難しければ周囲の人に相談してください。
『この悩みの本質は何か? 自分の本心は何を望んでいるのか?』
大きな悩みも小さな悩みも同じです。その一番シンプルで本当の欲求を満たすことを目的に手段を考えると、見落としていた解決策や意外な答えに気づくかもしれません。


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