2020年2月16日日曜日

こだわりの理由


唐突ですが、当ルームのカウンセリングルームに常備してあるティッシュは『クリネックス』を使うようにしています。
数あるティッシュのメーカーの中でなぜクリネックスに拘っているかと言うと、
私の敬愛する臨床心理学者であるカール・ロジャーズ(Carl Ransom Rogers, 1902-1987)が心理面談の際にクリネックスを使っていた、という理由があります。

カール・ロジャーズといえば、人間性心理学の代表的な一人であり、来談者中心療法という現在の対話を主としたカウンセリングの基礎を作ったと言っても過言ではなく、アメリカ心理学会によるアンケート調査「もっとも影響力のある10人の心理療法家」では第一位に選ばれたこともある人物です。

そんなロジャーズが自身の理論をレクチャーしているという貴重な映像があるのですが、その中で彼は、カウンセリングに必要な要素というくだりの中で、その一つに『クリネックス』とはっきりと語っています。

とはいえ、なんでもアメリカでは "Kleenex" という一商品名が商標に関係なく「ティッシュペーパー」を意味するほどに定着しているそうで、『ウォークマン』『ウォシュレット』みたいなものですね。
なので、つまりは涙を拭くためのテッシュがカウンセリングには必要だ、ということなのですがね。
それでもロジャーズを同じ商品を使用することで、少しでもあやかりたいということでクリネックスに拘っているというわけです。

さて、カウンセリングの中で何故にそれほどティッシュが重要なアイテムかと言うと、真意として重要なのはティッシュの問題ではなく、『泣ける環境である』ということ。

とは言え勘違いをしてはいけないのが、カウンセリングは泣かせることが目的ではないということ。
確かに泣くと、何やら達成感らしきものを感じることもあるのですが、実際のカウンセリングの質とはあまり関係ないと言えると思います。
大切なのは、自分の悩みや心の奥深くを語る時に、大きな感情が起きます。そうすると自然に涙が出てくるということをロジャーズは言いたかったのではないでしょうか。

涙というと悲しくて流れるイメージがありますが、実は感情が大きく発露した際には涙を伴います。
悲しくて流す涙もあれば、悔しくても涙を流すし、嬉しくて泣けることもあれば、怒りのあまりに泣けてくるなんていうこともあります。
私が思うに、人は大きな感情を表出する際、言葉や表情・動きなどで出し切れない時に涙が溢れ出すのではないかと考えます。

なので、悲しい気持ちにさせて泣かせることが目的ではなく、大きな情動・感情をカウンセリングの中で扱うということが、有効なカウンセリングに求められる要素の一つであると思っています。

当ルームにもたくさんの方がいらっしゃいます。
男性も女性も、年齢も様々です。もちろん相談内容も一人ひとり違います。
そんな皆さんのどのような感情であっても、カウンセリングの空間の中では決して、軽視したり拒んだりすることなく受け止めることをお約束します。

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