2018年9月27日木曜日

ある犬と私


その犬と最初に出会ったのはもう5年ほど前になります。
その犬は保護犬だったこともあり、とても臆病だったそうです。
子犬の時に保護されたらしいのですが、きっととても怖い思いをしたのでしょう。
人の気配や音にとても敏感で、ビクビクしながら眉間にしわを寄せている姿が第一印象でした。

数年経つと、飼い主に愛されていることに安心してきたのでしょう。眉間のしわとともに険しさは抜けてゆきました。
それでもやはり臆病ではあり、私との初対面の時は小屋に隠れて小屋の中から吠えていました。

それから年に数回会う機会があり。
だんだん小屋から出て吠えるようになりました。
お土産のおやつを手から食べてくれるようになりました。
ただじっと傍で座っていると、恐る恐る近づいてにおいを嗅ぎに来てくれました。

そして今日、頭をなでさせてくれました!
まだちょっと緊張気味ではありましたが、耳の後ろをなでてやると気持ちよさそうな表情をしてくれました。

『ラポール』という言葉があります。
訳すと『信頼』という意味ですが、カウンセリングでは、ラポールを築くことをとても重要視しています。

当たり前です。
信頼していないカウンセラーに本心で悩みは語ってくれません。
だからカウンセリングの初期段階では、信頼関係の構築がその後の展開を左右するほど大切なのです。

ですがそれは言うほど容易くなく、人によっては心を開いて素直に話してくれるまでに年単位の時間がかかる方もいます。
それほど悩みを話すというのは勇気がいるし、無理強いで何とかなるものではないものです。

冒頭の犬の話に戻ります。
5年かかりましたが、その犬とのラポールが築けた気がします。
時間がかかりました。
ですが、焦らずじっくりと、その犬に寄り添った結果、あの臆病な犬が私を信じて撫でさせてくれました。
自分の関りが間違っていなかったのだと思えて嬉しくなりました。


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