2015年6月16日火曜日

愛知県刈谷市の集団暴行事件~なぜリンチは起こるのか~

また起きてはならない事件が起きてしまいました。
愛知県刈谷市で起きた高校1年生が集団暴行に遭い亡くなった事件。
リンチに至った理由は「彼女がいるのに他の女性に声をかけたから」ということだそうです。

少し前にも千葉県川崎で同じような事件がありました。
「川に入れば許してやる」という共通点もあり、多少の影響はあったのかとも考えられますが、所謂『集団暴行』というのはこれまでも大々的に報道されただけでも数多起こってきました。

どうしてこのような事件が起こるのでしょうか。
「彼女がいるのに他の女性に声をかけた」
「自分たちのグループから抜けようとした」
「年下に生意気な態度をされて腹が立った」
様々な理由が語られます。
事件は果たしてそんな理由が原因で起きるのでしょうか。

勿論理由はひとつではなく、様々な要因が複雑に絡み合っての結果ではありますが、
その中に『集団心理(群集心理)』というものが挙げられるでしょう。

一人では到底犯せないような行為でも仲間と一緒なら罪悪感も薄れる。
悪ノリと同じレベルで語っていいものではありませんが、友達と一緒なら普段ではできないような大胆なことにも羽目を外してしまう。誰しも同じような経験はあるのではないでしょうか。

人は、集団と個人ではその行動が大きく変わります。
そんな集団心理の特徴としては以下などがあります。

・匿名性による個々の責任への自覚低下。
自分の行動がイコール結果に繋がることが、集団では紛れてしまい自覚し辛くなります。
その結果、道徳性が低下することがあります。
「赤信号みんなで渡れば怖くない」というやつですね。

・自分の力の錯覚
個人では成し得ないことも集団なら出来ます。
なので、「自分は強いんだ」と錯覚してだいそれた事もしやすくなります。

・感情や思考の単純化
集団で一つの塊となるので、個人の複雑な情緒などは軽くなってしまい大きな集団の意志で統一されやすくなります。その時、声の大きな人に引っ張られてしまい自分の意志でない行動へも抵抗がなくなる結果、極端な行動へ流れてしまいやすくなります。

これらの心理作用が働いた結果、耳を疑うような残酷な行動が現実に起きてしまいます。

これは決して特殊なことではなく日常でも起きていることで、
例えば、一人で考えるよりも会議の場などで集団で考えた方が、より積極的で時には過激な結論に至りやすいという研究もあります。

人は集団生活をすることで文化や文明を発展させてきました。
反面、集団であることの危険性もはらんでいると言えるのかもしれません。

個人が責任と自覚、そして自身の行動に想像力を働かせることができれば、
このような悲しい結果も起こらなかったのかもしれません。

被害者の少年の冥福をお祈りします。

 

 
垂水俊輔のカウンセリングの詳細やお問い合わせはこちら
❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈
名古屋 栄カウンセリング
 URL:http://sakaecog.web.fc2.com/
 
❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈・❈